みなさんこんにちは☀
遊びのたまごが見つかる!
『こっこ先生のあそびば』へようこそ🐣
2018年11月8日(木)に、かこさとしさん 最後の絵本である『みずとはなんじゃ?』が刊行されました。
私、こっこ先生も大好きなかこさとしさんの最後の絵本。
早速書店で手に取り、自宅でゆっくりじっくり読ませていただきました。
今回は、いつもの『こっこ先生のあそびば』とは違い、
この、『みずとはなんじゃ』という絵本を通して感じたこと、思ったことなどを綴っていきたいと思います。
思い出がよみがえる。
『みずとはなんじゃ?』を読むと、なぜか私が今まで読んできた、かこさとしさんの絵本との思い出がぱぁっと蘇ってきました。
それはそれは不思議な感覚でした。
いつの時代も・・・
私は幼い頃から、かこさとしさんの『からすのぱんやさん』(偕成社)という絵本が大好きでした。
とても有名な絵本なので、この記事を読んでくださっている方のほとんどは、読んだことがあったり、読んでもらったことがあったりするのではないでしょうか。
私は、そのどちらの立場も経験しました。
『からすのパンやさん』に出てくる、たくさんのパンが載ったページでは、読み聞かせをしてくれていた母に「ちょっとここでとめて!」といつも言っていたように思います。
そして毎回決まって、「わー、どのパンにしようかなぁ!」と一つ一つのパンを見ていくのです。
幼稚園の先生になると、毎年どこかのタイミングで『からすのパンやさん』を子どもたちに読み聞かせていました。
すると面白いことに、どの学年の子どもたちも決まって、たくさんのパンが載ったページを見ると、目がキラキラと輝いていました。
そして、その後の絵本の貸し出しでは、必ず『からすのパンやさん』の争奪戦が起こるのです。
時代は変わっても、子どもの心が揺さぶられる場面やお話は変わらない、ということをかこさとしさんの絵本から学びました。
古くなっていますが、まだまだ現役の『からすのぱんやさん』
からすの家族が大好きで、保育室の壁の飾りを自作したことも・・・
絵本から伝わる「かこさとし」
今回の『みずとはなんじゃ』では、初回特典として、別に冊子が付いています。
その中では、かこさとしさんの「水」に対する思いや、この絵本ができるまでの構想、編集担当の方とのやりとりまで書かれています。
絵本に併せてその別冊子を読み込んでいくと、「かこさとし」さんの熱意や人柄がどんどんと溢れ出てくるのです。
「水」に対する思い。
かこさとしさんの「水」対する思いは、約60年前、1959年に絵本作家デビューをした時からあったようです。
そのデビュー作が『だむのおじさんたち』(福音館書店)です。
その後も『かわ』や『海』(共に福音館書店)など「水」をテーマにした科学絵本が多く出版されています。
もともと化学を専門とした工学博士だったかこさとしさんは、実験を行う際に「水」が身近だったことから、「水」の特性の不思議さ、面白さに気付かれていたのでしょう。
そうなると、「水」への思いは60年よりもっともっと前、ということになりますね。
この『みずとはなんじゃ?』という絵本は、その「水」の特性、大切さなどが分かりやすくかかれた絵本です。
つまり、かこさとしさんの長年の「水」への思いの集大成とも言える絵本なのではないでしょうか。
作者の人柄が絵本にうつる。
この絵本を読み進めていくと、「あれっ?」と、その絵に目が釘付けになる場面がありました。
よくよく見るとその絵は、かこさとしさんが今までにかいてきた絵本に登場する仲間だったのです!
それは1人に留まらず、2人、3人・・・と、それはそれはたくさんの仲間たちがこの絵本に登場してくるのです。
(こんなことを言ってはなんですが、出版社も異なる仲間たちが・・・!)
それに気付いた頃には、「あれっ?」が「あっ!(ここにも!)」「あっ!(あの絵本からも!)」に変わっていきました。
初めの「あれっ?」がこの場面
また別冊子で、この絵本の絵を担当された鈴木まもるさんの思いとして載っていますが、『みずとはなんじゃ?』の中の登場人物にかこさとしさんを重ねた、と言うのです。
その場面とは、「水」を人の体に栄養を運ぶ「りょうりにん」と例え、また人の体を守る「いしゃ」とも例える場面。
「りょうりにん」と「いしゃ」がどう見てもかこさとしさんなのです。
かこさとしさんが私たちに向け、「豊かな心が育むように」と素敵な絵本を与えてきてくださったことを思い起こさせる一場面でした。
まさに、かこさとしさんの温かなお人柄がその場面を通して伝わってきました。
私がその場面で涙を流してしまったのは、そのお人柄に触れ、温かく包まれるような感覚になったからかもしれません。
「みず」とは・・・。
5歳の子どもがこの『みずとはなんじゃ?』と読んだら?
小学生が読んだら?
中学生が読んだら?
20歳の方が読んだら?
私と同年代の方が読んだら?
私の親世代の方が読んだら?
かこさとしさんと同世代の方が読んだら・・・?
それぞれが思う「みず」とは・・・?
いろいろな世代の方がこの『みずとはなんじゃ?』を読んだら、と考えてみました。
きっと、それぞれの世代にとっての「みず」の在り方は異なるはず。
だから、「水とは?」の答えも、もしかしたら少しずつ違ってくるのかもしれません。
もしかすると、私の人生の中でも、今感じることと、10年後に感じること、50年後に感じることは異なるのかもしれません。
そう考えると、幼い頃からずっとそばに置いてきた『からすのパンやさん』のように、この先の人生の中で何度も読み返しては、感じ、考える絵本になるのではないかと思いました。
『みずとはなんじゃ』は、読んだ人、見た人それぞれが感じ、考え、そして自分や周りの人を見つめるきっかけとなる絵本です。
ちなみに私は「みず」とは「命」というフレーズが浮かんできました。そして「生きることへの勇気」をかこさとしさんから、受け取った気がします。
最後に、この場をお借りして、今年2018年5月2日に亡くなられた、かこさとしさんのご冥福をお祈りいたします。
たくさんの素敵な作品をありがとうございました。
かこさとし公式サイト
http://kakosatoshi.jp/
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